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羊の本―ALL ABOUT SHEEP AND WOOL(まもなく絶版)

202311月に、第26回日本自費出版文化賞にて『羊の本』が研究・評論部門で入賞いたしました(応募総数658点、入賞は55点)。
2018
年に上梓されたこの本の出版に際し、取材編集デザインでご尽力いただきました関係諸氏、そしてクラウドファンディングにご協力いただきました皆様に、心より御礼申し上げます。(本出)

B5版、336ページ
4,950円(税込)
2018年5月11日発行
ISBN:4904443454

羊の恵み―乳と肉と毛と糞―で、人は一万年を生きてきました。そんな羊と羊毛のことを楽しめる一冊です。
羊の毛刈りから始まり、毛を洗い、紡いで糸を作ること。羊毛の毛質にことと、そこからどんな作品が作れるかについて。また羊毛産業の工程とその現状。羊の世界史、日本史、羊をめぐる世界観、さらに日本の羊飼いの紹介まで。羊と羊毛に関わる人たちのことをたくさん盛り込みました。

羊の恵み―衣食住
羊の毛、肉、乳で人は命を繋いできた

人が羊を家畜化したのは約1万年前といわれています。仔羊のための乳を横取りしてチーズを作り、老羊の肉を食べ、毎年伸びる毛でフェルトを作り、糸を紡ぎ、毛皮で衣や寝袋を作って体を温め、糞は燃料にしました。羊を守り飼い慣らすことで、人はサバイバルしてきたのです。収穫が不安定な狩猟生活とは違い、牧畜生活によって人はどれほど安心できる日々を享受したことでしょう。羊と人の関係を知ることは、まさに持続可能な暮らし方を知るということなのです。

羊の品種
毛質の特徴で4つに分ける

羊の品種は世界中に約3,000種あるといわれていますが、羊毛の毛質に注目すると、例えば味覚が「甘い」「辛い」「酸っぱい」「苦い」「渋い」などで表現できるように、羊毛も「柔らかい」「弾力がある」「光沢がある」「白髪っぽい」という毛質の特徴でグループ分けすることができます。この本では、4つの毛質をそれぞれ「柔らかい=ピンク」「弾力がある=黄」「光沢がある=青」「白髪っぽい=緑」に色分けしています。このように大きく分類することによって、品種にとらわれずに、羊毛の特徴を生かして作品作りができるでしょう。

スピニング
自分の手で糸が作れる喜び

21世紀の現代は、お金さえ出せば衣食住すべての物が手に入るようになりました。自分で作らなくても何の不自由もありません。しかしちょっと手を動かして糸を紡いでみると、思いのほか簡単で楽しいことに気が付きます。この章では手紡ぎ・スピニングの工程を紹介します。それは物を作る喜びであり、暮らしの原点です。

日本の羊飼い
持続可能な経済への扉を開く「羊のいる暮らし」

羊の文化は約1万年前に始まり、世界各国に伝播しました。その中に日本が仲間入りしてようやく100年余り。1957年に約100万頭を数えた羊も2017年には17,000頭余り、とても「日本には羊がいます」と言える頭数ではありません。しかしそんな中でも存在感のある羊飼いが少なからず登場しています。生産牧場から観光牧場、町中羊飼いに至るまで。そうした羊たちの役割は肉と毛だけなく、除草、土壌改良、人とのふれあい、そして暮らしを潤わせることまで。日本の羊飼いの実践そのものが、持続可能な暮らしのキーワードを秘めているように思います。


【目次】

・羊の恵み―衣食住
・羊の飼い方
・羊毛のクラス分け
・羊毛を洗う
・羊の品種
・羊毛の防虫対策
・スピニング
・フェルト
・羊毛産業
・羊の世界史
・羊の日本史
・世界の羊毛消費そして環境問題
・羊をめぐる世界観
・日本の羊飼い
・トラベラーズブランケット
・手紡ぎの風景 No.100

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