SPIN HOUSE PONTA. とは

SPINNUTS(スピナッツ)とは、Spin(紡ぎ)+Nuts(夢中になる)を合わせて造った言葉です。

1983年、インドへ行く前にオーストラリアに途中下車、友人の奥様が、毛刈りしたての羊1頭分の羊毛=Fleece(フリース)を糸車の横にボンと置き、毛刈りしたての羊の毛から糸を紡いでいるのを見てびっくり!「糸ってこんなふうにして作るんだ」と衝撃を受けたことからすべては始まりました。

「フリース」とは今出回っている化繊の衣料のことではなく、本来は羊一頭分の刈りたての羊毛を指します。
一枚のコートのように繋がっていて、羊の形に広げることができます。初めて見た光り輝くフリースの美しかったこと。その日“原毛屋になる”と決心し、3頭分のフリースを持ち帰って、原毛屋Spin house PONTA・スピンハウスポンタを始めました。1984年のことです。

糸を紡ぐことは、春の羊の毛刈りから始まって、羊毛を洗い、染め、梳き、紡ぎ、織ったり編んだりして、ようやく一枚の衣になるには長い時間がかかります。 初めて自分で紡いだ糸で作ったセーターを着た時、今まで経験したこともない満足感で心が満たされたことを、昨日のように覚えています。
「この一枚さえあれば、私は大丈夫」と思えたのです。

「きっと糸紡ぎなんて、日本では誰もやっていないだろう」と、鼻息あらく帰ってきましたが、知らなかったのは私だけで、いざ始めてみると日本にも、手紡ぎや手織りをしている人たちがたくさんいました。その出会う人、知らないことにその度驚いたり、考えたり、感激したことを誰かに伝えたくて、翌1985年から「情報誌スピナッツ」を作り始めました。 手書き、8ページ、コピー刷りの30部が創刊号です。

私が羊から学んだのは、「丸ごと無駄にしない」ということです。
さらにその後、羊の恵み―肉、乳、羊毛、糞―から、人は衣食住を整え、一万年を生きてきたということも、徐々に知ることになりました。

スピナッツは、「羊からはじまる、たくさんの楽しいことを、SPIN・NUTS (紡ぎに夢中)という熱いハートで、多くの人と分かち合いたい」。
この気持ちは30年以上たった今も変わっていません。

羊雲に乗って、各地のスピナーと繋がりあう…そんな楽しいサイトを目指していきます。

本出ますみ

ウール クラッサー(Wool Classer・ウール格付け人)。羊の原毛屋SPIN HOUSE PONTA.(スピンハウスポンタ)代表。1958年生まれ、1...

プロフィール